古民家の材料を使った家を建てたいと思ってますがどうしたら良いでしょうか?

百年以上経った古民家には、太くて長い勇壮な松梁や欅の大黒柱(一尺以上のも の)、差鴨居が使われています。現在ではとても手に入らないような材料が大量に使われている宝の山。こうした古民家が解体され産業廃棄物として処理されています。 これを産廃せず古材の価値を再認識し、より美しい家作りを目指す動きがあります。

古民家の再利用については

  • 『骨組みをそのまま再利用する方法』と
  • 『部材を部分的に利用する方法』と

があります。
骨組みをそのまま再利用するには部材と建築計画を融合させるため、解体前に建物の調査を十分にしておく必要があります。部分的に利用するには柱や差鴨居、框等を削り直したり、柱や板に挽き直したりする方法があります。

また建具、床の間、天井板、煤竹とを新しい家に組み込む方法もあります。すでに解体した古材を販売している所もありますので足を運んでみるのも良いと思います。 古民家を再利用するには事前調査や解体を手壊しで行うので調査費や解体費が通常より高くつきます。しかし、重厚な雰囲気や美しい木目、落ち着きのある空間を造り出 せるのも木材の良さです。木材は我々が思っている以上に強く長持ちをし、環境に優しい素材です。古材を使うには時間と手間が掛かりますが、建築家と良く相談し、良 い空間を作り出してください。

『月刊ぷらざ2003年2月号掲載』回答: 須田睿一(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 材料 | | コメント (0)

左官壁が最近少なくなったのは、どういう理由なのでしょうか?

自然素材の木と紙と土で作られてるのが日本の建築でありました。そんな時 代にはシックハウス症候群もなかったのです。
木舞掻き、漆喰塗り、掻き落し、なまこ壁、人研、叩き、洗い出し等、懐かしい言葉が消えて行きます。

最たる原因は前近代的な工法によるものと思われます。
壁下地作りから始まって、下塗り、乾燥、上塗り、乾燥と工程を踏むので、工期短縮を図り たいクライアントの要望と相容れないのです。
和室でさえ和調のビニールクロスが使われるようになりました。大変に嘆かわしいことです。さらには施工過程での汚れが若い後継者不足へとつながっています。

日本古来からの左官壁を残すには、

  • 健康な住まいとなることを見直し、
  • 塗り壁のテクスチャーの良さを見直し、
  • 建設行為にクライアントが積極的に参画してくること

以外に方法はないと思われます。そうすることによって伝統的な職 人芸を残してやって頂ければと思います。極少ながら、若い後継者は今でもいます。

最近のある現場での出来事でした。左官職が大磯の洗い出し仕上げを始めた途端、 ほかのすべての職方が全員手を休め、その技に見入ったことがありました。これほどまでにこの仕事は人の心を打つものであります。 

『月刊ぷらざ2003年3月号掲載』回答:下田進(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 材料 | | コメント (0)

最近いろいろな屋根材を見かけますが、どんな屋根葺材料があるか教えてください。

現在、屋根を葺(ふ)く材料は大きく分けて以下の5つです。それぞれ特性を持ち、耐久性・表情・屋根の形などとのかねあいで決めると良いでしょう。

◇植物材
芽吹き・桧皮葺き・柿葺き等。皮や茎、割った木を重ねて葺く古くから使われ、現在では材料の入手が困難であり職人の減少でコスト高。特長は優れた断熱性です。

◇石材
薄くした石を重ねて葺くもので、天然スレート・鉄平石等が使われます。この材料も植物材と同様、あまり使う機会の少ない材料となってきました。

◇金属材
古くから使われてきたものには、銅板・鉛板があり、最近は鉄板にアルミニウム・ステンレス・チタン等とその複合板が広く使われています。どれも軽く、屋根を薄くできますが、断熱は他の材料との組み合わせにより確保します。

◇粘土板材
主に瓦として馴染みの材料で、形・色等多種あり製品によって表情が多様に変化します。また、耐久性に優れ、瓦の下面を空位が流れるため、屋根面の熱を下に伝えにくい性質があります。

◇セメント系
モルタルを成型し瓦状にしたもの、石綿等をセメントに混ぜ成型し、板または波板状にしたもの等があります。瓦状のものは瓦、板状のものは金属材の特徴を持ちますが、顔料を使っているものが多く、色があせることもあります。

『月刊ぷらざ2000年12月号掲載』回答:松村和雄(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 材料 | | コメント (0)